履歴書の特技欄に書くことがある人が本当に羨ましい。私には特技と呼べるものがないので、いつもその欄に何を埋めようかと頭を悩ませてしまう。一応珠算3級の資格は持っているけれど、それのおかげで就職に役立ったということは一度もない。それにもう今では手指も固くなり、昔のようにはそろばんをはじくことはできないと思うし。

そうなると私の特技って、何もないということになってしまう。いや待て。誰にだってきっと人にはない特異…いや違った、得意なことがあるはずだ。例えば人より鼻が利くこととか？道を歩いていると、誰よりも先に近くに焼肉屋があることを嗅覚で知ることができる。こんな特技、役に立たないだろうか？例えば飲食店なら食べ物が腐っているかどうかがわかるし、探偵なら浮気調査のときの香水を嗅ぎ分けるのに役立つかもしれない。それから耳だって結構いい方だ。誰かが私の悪口を言っていると、遠くでもそれが聞こえる。例えばテレフォンアポインターなら電話が遠くても相手の声がよく聞こえるだろうし、探偵ならスパイのように他人の秘密の会話を聞くことができるかもしれない。それに、私はスマホの液晶ガラスを割るのだって得意だ。スマホに買い替えて3年、これまでに3回液晶ガラスを割っている。一年に一度のハイペースだ。私の記録を超える人を今まで聞いたことがない。え？そんなものが何の役に立つのかって？例えば探偵なら、浮気調査でバレそうになった証拠を、スマホの液晶ガラスを割ることによって証拠隠滅ができるかもしれない。そう考えると、私に向いている職業って、探偵なんじゃないかという気がしてきた。ラッキーセブンの見すぎかもしれないけれど。